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はじめに |
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| ここに選んだアルバムは出来そのものがよくないというよりも、期待と現実のギャップが大きかったものです。やり玉にあげられた関係者のみなさん、どうか大目にみてやってください。 | ||||
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塚原立志
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第1位 日本 |
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| ムーンライダーズがオッサンくささを売りにするようになったのは86年の"DON'T TRUST OVER THIRTY"、通称『ドントラ』あたりからだったと思うので、オッサン・バンド歴のほうがはるかに長いことになる。オッサンならではのモタモタ感やスノッブ気どりがお茶目で好きだったが、2001年の"DIRE MORONS TRIBUNE" あたりからイヤ味が出てきた。 それから4年ぶりに発売されたこの新作は、かれらが30年間かけて築き上げてきたスタイルを使いまわしただけで新味はゼロ。はじめて聴いたのに聴いたことがある曲ばかりだった。これはもうオッサンじゃなくて、人生を達観して生きることに後ろ向きになったジイサンの世界。 |
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| 第2位 USA Ry Cooder CHAVEZ RAVINE チャヴェス・ラヴィーン ワーナー/ Nonsuch WPCR-12111 (JP) |
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| 「ライ・クーダーのよさがわからないと通じゃない」みたいなムードがずっとあって、じっさい悪くはないと思っていても、いまひとつ入りこめない自分がいた。 50年代、都市再開発によって消えていったロサンジェルスのメキシコ系アメリカ人社会をテーマに選んだ着眼点そのものはおもしろいが、ライ本人による解説が難解で、日本人であるわたしにはよく理解できなかった。そこで、音楽そのものを楽しもうと何度かチャレンジしてみたのだが全15曲70分を聴きとおす機会はついに訪れなかった。 |
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| 第3位 キューバ Peruchin EL MARQUES DEL MARFIL Tumbao TCD 314 (EP) 3CDs |
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| ペドロ“ペルチーン”フスティスは、マンボの創始者ともいわれるピアニスト、作編曲家、バンドリーダー。30年代、サンティアーゴ・デ・クーバのオルケスタ・チャピン・チョーベンを皮切りに、マリアーノ・メルセロン、カシーノ・デ・プラーヤ、リバーサイドなど、数々の名門オルケスタに所属した。ペルチーンはキューバで歴代3指にはいるピアノの名手で、60年代はデスカルガ(ジャム・セッション)の常連としても活躍した。 しかし、リーダー・アルバムはあまりなく、そういう意味で54〜65年の音源を集めたこの3CDセットはペルチーンの決定盤になるはずだった。中味は大ざっぱにいうと、かれのピアノ・プレイに焦点をあてたコンボ・スタイルの演奏(ピアノ・ソロもあり)と、バンド・リーダーとしての側面に焦点をあてたオルケスタの演奏からなっている。しかし、いずれもインスト中心だったせいか、スタイリッシュなアフロ・キューバン・ジャズの域を出ていないように思えた。要するに優等生的なのである。決定盤にはちがいないが、期待が大きかっただけに肩すかしを喰らった気分。 |
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| 第4位 ラテン Tito Puente DANCE MANIA ダンス・マニア BMGファンハウス BVCJ-37436 (JP) ほか“RCAマンボ/ラテン・ペーパー・スリーヴ・コレクション”10タイトル |
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| 元オルケスタ・デ・ラ・ルス、現熱帯JAZZ楽団のパーカッショニスト、カルロス菅野さんの監修により、ティト・プエンテ、ティト・ロドリゲス、ペレス・プラードなど、50〜60年代のRCA音源からマンボ〜ラテン音楽のアルバム10タイトルが発売された。レア度はさほどでもないが紙ジャケというのがうれしく8枚も買ってしまった。 シリーズの目玉であるティト・プエンテの4枚で解説を担当したのがパーカッショニストのウィリー・ナガサキさん。プエンテに寄せる熱き思いが文章からひしひしと伝わってくるだけに、そこまで熱くなれない自分との距離をつよく感じてしまった。 余談だが、日本のラテン・ジャズ系プレイヤーの演奏には、ラテン系音楽というよりフュージョンに近い感覚があるのはどうしてか。しかも、そのルーツに吹奏楽部が見え隠れしたりして。 |
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| 第5位 ラテン Hector Rivera VIVA RIVERA! ビバ・リベラ! エピック MHCP365 (JP) ほか“CBSラテン名盤シリーズ”10タイトル |
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| 本シリーズが発売される1、2年前の「レコード・コレクターズ」の海外盤紹介欄で、山本幸洋さんがリベーラのこのアルバムをLPでとりあげていたことから、よほどレアでクオリティが高いにちがいないとすごく期待していたが、聴いてみてひどくがっかりした。どうすればこの音楽をいいと感じられるのだろう。 このシリーズも全部で8枚買ったが、アルセニオ・ロドリゲスの『キンデンボ』は海外盤で何度も聴いていたので、3回以上聴いたのはマチートの『マンボ・ムーチョ・マンボ〜コンプリート・コロンビア・マスターズ』ぐらい。リベーラのもう1枚『ニュー・ラテン・ダンス・センセーション』にいたっては未開封のまま。前述の“RCAコレクション”のときもそうだったが、山本さんにはいつも一杯食わされてばかり。もうだまされないぞ。 |
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| 第6位 日本 Various Artists ラテン・デ・ニッポン 東芝EMI TOCT-25696 (JP) |
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| コモエスタ八重樫さんは、元東京パノラマ・マンボ・ボーイズのメンバー。5つのレコード会社から日本のマニアックなラテン/南国系音楽を発掘し紹介したコンピレーション『南国の夜』『南国の熱風』『南国の果実』などをつくった人物でもある。それからおよそ10年ぶりとなるこのアルバムは、“南国シリーズ”には含まれていなかった80〜90年代の音源も多く収める。 キワモノ的な感覚がつよいことからくり返しの鑑賞に耐えられないのはやむをえないとしても、納得いかないのは、コモエスタによる間奏曲が3曲入っていること。氏にしてみれば「これはたんなる寄せ集めじゃなくて選曲・構成にあたったオレさまの作品集だ。文句あるか」といいたいと思う。気持ちはわかる。だが、このアルバムを買ったのは、コモエスタだからというより発掘された曲そのものに興味があったからというひとが大多数ではなかろうか。手を加えるなら、“南国シリーズ”のときのようにもっと目立たないようにしてほしかった。 ついでながら、本盤にあった由紀さおりの「神武夫人のマンボ」を収める81年の名作『昭和艶唱』のCD復刻をつよく望む。 |
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| 第7位 USA/ザンジバル Taj Mahal meets The Culture Musical Club of Zanzibar MKUTANO T&M 031 (GE) |
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| レイジーなブルースにターラブ独特のストリングスがかぶさってきて「なかなかいけるじゃないか」」と感じたのもつかの間。タンザニア北東部の島ザンジバルに伝わる“ターラブ”と呼ばれるアラブ色の強いインド洋音楽が話題なったのは、88年に英国のグローブスタイルから発売された"MUSIC OF ZANZIBAR" によって。あれからひさびさの登場になるわけだが、相変わらずの浮遊感と脱力感がたまらない。 しかし、タジ・マハルの音楽とはあまりかみ合っておらず、アルバムとしてのまとまりが感じられない。たいへん魅力的なとりあわせだったがコラボレーションは完全に失敗したようだ。 |
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| 第8位 日本 富岡多恵子 物語のようにふるさとは遠い pヴァイン PCD-7254 (JP) |
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| 詩人・小説家の富岡多恵子が、当時、東京芸大の大学院生だった坂本龍一の作曲・編曲で完成させた76年録音の異色盤のリイシュー。歌うような詩、詩のような歌といえばよいか。実験的だが晦渋さはなく坂本らしいポップな仕上がり。富岡の、不安定でふるえるようなゲイっぽい声音が印象的だ。 しかし、富岡の詩はぜんぜん心に響いてこないし、坂本のアレンジにしたって当時としては斬新だったろうがいまの耳では「だからどうなの?」というレベル。インテリジェンスはいかにして俗情と結託できるかというマルクス主義以来のアポリアをこのアルバムは乗り越えていない。しょせんはインテリの手なぐさみといったところ。 これならむしろ詩人の白石かずこがサム・リヴァースと共演した77年のアルバム"DEDICATED TO THE LATE JOHN COLTRANE" のほうがいっちゃっているぶん上。 |
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| 第9位 マリ サリフ・ケイタ ムベンバ M'BEMBA ユニバーサル UCCM1081 (JP) |
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| 「出来はすばらしいんだけど感動しないんだよね」といったのはDさん。<BEST ALBUM 2005> の項参照。 | ||||
| 第10位 コンゴ民主共和国 Mose Fanfan BAYEKELEYE LAA 001 (UK) |
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| 最近のアフリカ系音楽にとくにいいたい。「アコースティックで、ナチュラルな感じならなんでもいいのかよ!」 このモーズ・ファンファンとか、ケケレとかを聴いてると、油脂や糖分が全部抜け落ちてひたすらヘルシー。評判のよかったケレティギ・ジャバテのソロ・アルバムもそう。誤用されている流行り言葉でいうと“ロハス”なサウンドというやつだ。要するにフランコの死から15年近くたって、ルンバ・コンゴレーズはついに“懐メロ”になったということだろう。でも、なんかちがうぞ!? そうはいっても、80年代後半以降のシンセやうちこみを多用したパリ・リンガラにくらべれば百倍はまとも。ギター・プレイといい、曲の構成といい、ファンファンは師匠のフランコをつよく意識し、これを現代流に調理し直したとみた。現在のルンバ・コンゴレーズとしてはもっとも良心的な作品であることは認める。だが、前向きではない、いまのとうようさんに似て。 |
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(1.3.06) |
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